担任が変わる度に面談をして、ノビーのLDの特性について話をしていましたが、区立中学校にはもっと問題のある生徒がいくらでもいる訳で、単に「勉強ができない」生徒に対し、当時の学校が特別にしてくれる事は何もありませんでした。
特に一番大変だったのは中学1年から高校入試までの3年間です。
中間テストや期末テストのたびにスケジュールを組み、2週間かけて試験勉強につきあいます。中学のテストなんて、普通なら5日もみっちりやれば十分でしょうが、何事も倍の時間が必要でした。
今思うと親も相当大変でしたが、それ以上にノビーは苦しかったはずです。もちろん塾にも通っていましたが、「計画を立てて効率よく試験範囲を終わらせる」というのはノビーのもっとも不得意とするところでした。非言語性学習障碍の特徴でもあるのですが、枝葉末節にこだわり、重要ポイントにピントをあわせる能力が低いのです。
そして漢字が書けないという事は国語のみならず、どの教科においても大きなネックとなっていきました。
理科でも社会でも結局暗記とは漢字で暗記することであり、漢字で書けないと丸はもらえません。そのようにつきっきりで、あらゆる試行錯誤をしながら2倍3倍の時間をかけて試験勉強をさせても、平均点を越えれば良い方で、オール3程度の成績しかとれません。特に苦手だった数学は2の時もありました。
そのような状態の中で、唯一光がさしていたのは、英語でした。
英語では、あたりまえですが何といっても漢字が不要です。特に聴覚認知がすぐれていたので、英語の文章を聞いたまま暗唱するのは得意だったのです。とはいっても、しょせんはLDですからスペルミスと文法ミスを多発して、学校の記述式のテストでは良い点がとれません。しかし小6から英検を受けさせると毎年確実に昇級し、中3で準2級に合格しました。マークシート問題だと書かなくてよいので点が取りやすく、得意のリスニングはいつも満点近かったのです。
1つでも得意な科目があるということが、彼の大きな支えとなり、高校受験を無事にのりきる事ができました。
LDの子供を育てている親なら誰もが強く願うことは、「なんとか無事に普通の高校に進学してほしい」という事ではないかと思います。
野比ママはノビーの高校受験に際し、2つの戦略をとりました。まず少しでも受験勉強の負荷を減らすために、3教科で受験できる高校に絞り、かつ得意な英語に傾斜配点がある高校を探しました。
結果、第1志望には合格できませんでしたが、偏差値55程度の、都内の中堅下位大学の付属高校に入学することになりました。一定の条件を満たせば、付属大学への推薦枠を確保しながら、他大学を一般受験することが可能です。「できれば何とか大学まで行ってほしい。大学付属の高校であればなんと安心だろうか」というのがその時の正直な親の気持ちでした。

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